過去ログがネットを滅ぼす?

R30さんのエントリーは興味深い内容だった。成る程、本来思索の出発点と成るべき過去のテキスト(過去ログ)が、かえって思考停止を促してしまうとすれば、それは危険だし有害な事だと僕も思う。
思考、というか人間が知を求める行為のすべては、「わからないもの」「わからない事」への想像力であり、動的な要素を共なった運動というか一種のダイナミズム(←一緒だろw)でなければいけないと思うし、それが「正しいか」「正しくないか」なんてのは後世の人間が勝手に判断する評価に過ぎず、行為者本人にそんな事が分かるわけはないし、分かるとすればそれは嘘っぱちのまやかし以外の何物でもないんだろう。


・・・そうなんだけど、実際問題として「過去ログ」ってそんなにみんなに読まれてるんですかね?はてなの質問とか、僕はした事無いんでよく解りませんけど、Googleにぶち込めば一発で結論が出る(この結論も「まやかし」かな?)ような問題ならともかくも、ちょっと一般的で無い、わかりにくい問題なら、「とっくに既出」だろうがなんだろうが、ループ的に議論されるのが普通じゃないだろうか。特にR30さん言うところの「知の基盤」が確立していないコミュニティにおいては。
というのも、「武装錬金」にハマってから僕はよく2ちゃんの週間少年漫画板に出入りしてるんだけど、ああいう議論慣れのしない低年齢層の住人が集まる掲示板だと、過去ログどころか50レス前の発言すら読まない輩がゴロゴロいるのですね。だから「ブラボーが死んだぞ!」という情報が来ると「剛太がシルバースキンAT着てるからまだ生きているのでは?」という「質問」が50レスタームで沸きあがる(笑)。まあ2ちゃんなんて何処もそんなもんだよと言われればそうかも知れないけど、そういう場での議論に慣れてるものからすると、「過去ログがネットを滅ぼす」ってのはちょっと大げさな心配に見えてしまうんだよなあ。


ネットをやってる人、いややってない人にしろ、「議論する前に過去ログを読もう」と考える殊勝で勤勉な人(あえて「賢い」とは言わない)はまだ少数派なんじゃないか。「知の基盤を作れ」という意見には同意するけど、多分そんなものまだこのネット界のどこにも出来てはいないんじゃないかと僕は思うし、「過去ログというストックの束」に知性(ってこれはまやかしだが)を見出す人すらまだ少ないんではないかと思う。人類はそんなに「賢く」ないし、同じことを何百回も繰り返す。それが過ちであれ何であれ。

・・・ああ、でも某「黒猫」が話題になった時のパクリ議論には、こういう「過去ログ読め!」的な思考停止の形体があったな。まああれは作品自体が停滞するジャンプの「不毛さ」の産物だったから、そこから派生する議論が不毛以外の何に成るはずも無かったのだけど。