スピリッツの「現在官僚系もふ」を立ち読みする(ネタバレ注意!)

bewaadさんのブログで取り上げられているのを見て、どれくらいヒドいのかに興味を持ったため。
(注:以下はかなり厳しく本作品を批判していますので、「現在官僚系もふ」のファンの方は読まない事をお勧めします)


第一話も読んでない癖にこんなことを言うのも何だけど、主人公のもふ君にしろ脇役勢にしろ、ビックリするくらいステロタイプで薄っぺらな描き方しかできていないように見えた。膠着した「官僚的な」システムvsそれを刷新しようとする若いヤリ手、っていう対立構造がはっきりし過ぎてて、映画「踊るなんちゃら」シリーズのような、本来複雑な機構を無理矢理単純化して断罪する、この手の社会派作品に典型的な陥穽に陥ってしまっていると感じたが、こういう手法を用いる場合は、その場で起こりうるあらゆるパターンへの的確な検証がないと、陳腐な寓話劇とかにありがちな、高所/外部から対称を見下すが如き欺瞞から抜け出せないように思う。


挑発のつもりなのか、最後のページに「財務省の皆さん、この漫画を読んでも怒らないでね(はぁと)」なんてコメントが載せられていたが、こういうガキ臭い二項対立劇ばかりやってるからいつまでたってもエライ人達に漫画というメディアが認められないのだと思う*1。漫画だってその気になればリアルな社会派ロマンがやれるんだって事は数年前に新井英樹が証明してんのに、この作者の頭は未だに野望の王国がトレンドだった時代から抜け出せてないようだ(だってあの、脇役のメガネ君(名前忘れた)とか、いかにも「この世を動かすのは力だ!それ以外の何物でもない!」とか言い出しそうじゃん(笑))。


まあ、こういうありがちなカテゴライズを最初に示して、それから脱却していく過程を書きたいのだとしたらまだまだ良作になる余地はあるのかも知れない。が、いかにストーリーが改善されてもあのゲイ課長のサイテーな描き方は作品にとって消せない傷となるだろうな。中間管理職の悲哀って視点なら「武装錬金」のブラボーとかの方が万倍魅力的で奥深い書き方をされてるんだけど、本来一番の得意分野とするテーマでジャンプ漫画に負ける青年漫画ってどーよ。

*1:少年向け漫画ならそれでOKだし、一概に認められればいいってわけでもないが・・・