「Flash Game Festival'05」感想・その2(「steel graveyard」「モナー道中」「HAKUHIN vs NISSIN DARK」)(ネタバレ注意!)

開催中の同イベントに発表されたFlash作品の感想です。感想を書いてる奴は基本的にゲームが下手糞なので、クリアできなかった作品もあるのですが、その点はご了承ください。
このエントリーは前回のエントリーの続編になります。

当イベントで唯一のRPG大作です。


Flashが故のセーブ機能実装不可という問題*1を抱えながら、イベント攻略→街で買い物→攻略、という既存のRPGを極端に単純化したモデルによって短時間でプレイ可能な「ひとくちRPG」の体裁を取り繕った挑戦的な一作です。暴走した機械軍団VS人間の賞金稼ぎ、というストーリーラインは大変ベタながら、ベタ故にこれといった前置き無しでもプレイヤーの作中世界への没入をスムーズに促すものになっており、美麗なグラフィックやサイバーなBGMと併せて好感度の高いものに仕上がっています。作者氏本人が述べているように、細かい点を見ていけば粗も目に付くのですが、それを気にさせないだけの豊かなポテンシャルを備えています。作者氏はこれがデビュー作という事で、今後の活動にも多いに期待が持てそうです。


細かい指摘になってしまいますが、上記した「目に付いた粗」をいくつか。
・ストーリーや世界観のオーソドックスさの割に戦闘システムはかなり独特で、基本的にオートバトル→戦況が危なくなったら各種指示を、という流れになっているのですが、指示を出さない限りは戦闘が展開しない通常のRPGと比べるとイマイチとっつきづらい気がどうしてもしてしまいます(他のシステムは説明なしでもすんなり頭に入ってきたのですが、戦闘システムは解説を熟読しないと理解できませんでした)。また、HPの表示位置が画面左端なのに対し指示を出すための「攻撃」ボタンが画面右端に配置されていたりとインターフェースにも不便に感じた点が多く、「眺めているだけで戦闘終了」というわけにはいきませんでした。何より、コマンド入力に注意を払っていたために折角の美しいグラフィックを存分に楽しめなかったのが心残りです。
・アイテムが回復用の「リペアユニット」のみというのは思い切っていていいのですが、後半に入ると二、三度の回復であっというまに消費しきってしまうので、取得の上限が1000というのはゲームバランスと対照するとやや不均衡だったように感じました。全体のゲームバランスはレベルアップ戦闘→イベント戦闘消化の流れがスムーズで良かったと思いますが。

オーソドックスな2Dアクションながら、ハイレベルな完成度を誇る作品です。


元ネタは「ゴ●モン」シリーズかと思われますが、敵味方双方の攻撃のバリエーションの豊富さ、程よい長さとスケール感を持ったステージの設定、難しすぎず簡単過ぎないゲームバランスなど、数多くの先達のいるジャンルだけに、固められた基礎に忠実な質実剛健なゲーム作りが行われています。コンティニュー機能付きなので最終ボスに到達するのもさほど困難ではないですし、負けながらでもそれなりの所まで到達できる親切な設計があります。ほのぼのとしたグラフィックとシビアな内面が、高い技術力に支えられて矛盾せずに成立したスマートな作品です。


ただ、「敵の攻撃に一発でも触れたらアウト」のゲームシステムで、VSようかんマン戦の怒涛の波状攻撃は少し辛いような気もしました。一旦アウトするとボムが自動的に補充されるゲームシステムを逆手にとったボム攻撃の連発で何とかクリアできましたが・・・。
あと、ストーリー解説の「ぜんぶようかんまんがわるい」ってようかんマンが何をしてああなったのかについて最後まで説明が無いのも疑問が残ったのですが(笑)、これは意図的なものだったのでしょうか?

ワンボタンオンリーの格闘アクションゲームです。


高めの難易度とワンボタン格闘という単純なシステムを組み合わせた結果、格闘というよりは先手必勝型のバトルアクションに仕上がっており、初心者でも頑張れば簡単にラスボスまで到達する事ができます。この手の格闘ゲームで対戦モードが無いのはやはり少し物足りない感じもしますが、ピンチになると仲間が駆けつけて敵を攻撃してくれる「友情システム」などはストーリーモードオンリーでなければ実現しにくいものだったとも考えられ、30分くらいであっさり楽しめるゲームとしては特に不満はありません。バトルのインターフェースも作者氏が説明で書いているほど鈍重ではなく、僕の低スペックのパソコンでもそこそこ快適にプレイすることができました。


ストーリーは初期「幽遊白書」な学園オカルトバトルものに柴田ヨクサルの「谷仮面」ですとかKOFですとかジャスティス学園ですとかとにかくその類のものをゴチャゴチャに組み合わせて3日間寝かせて発酵醸成させたようなどこか懐かしいような世界観で、上記した名前に一つ二つ思い当たるところのある人にはまず楽しめるだろうと思います。あー、サマーソルトキックはガイルの技でしたか(古い)。
エンディングまで特に破綻なく進むのですが、最後の暗藤君の扱いに救いが無いのだけはどうかと思いました(あの後助かったのかな?)。


関連エントリー「Flash Game Festival'05」感想・その1
関連エントリー「Flash Game Festival'05」感想・その3

*1:過去、基地外@名無し氏による野心作「モナーを飼ってみますた。」等でFlashにセーブ機能を実装する試みは何度かなされているものの、RPGでこれを実装したものはちょっと思い当たりません。もし実装した例をご存知の方がございましたら是非コメント欄にタレコミを!