今日のFlash・拡大版(「幻影魔曲〜幻の故郷〜」「幻影魔曲2 〜追憶ツイオク〜」「時は金なり?」「母の日」「「古墳GALのコフィー」 #1 イントロ」)

イベントの感想に集中していて感想を書けなかった作品を纏めて。

全編フルボイス(2のみ)のオリジナルファンタジーアニメーションです。


まず、Flashでこうしたアニメーション大作をガチンコで作り上げた作者氏の努力を賞賛したいと思います(なんか偉そうですが)。コメントにもあるように、Flashは容量の問題から10Mを超える大作を作るのは難しく、ましてや「動き」の面白さが最も重視されるアクションでそれをやり遂げるのは並大抵のことではありません。常に総容量を気にしながら動作が重くなり過ぎないようにコツコツと絵を積み上げていった、細部への配慮が行き届いたアニメーション作りは誰もが手本とすべきところだと思いますし、単なる「萌えアニメ」の一言で片付けてしまうにはあまりに惜しい本作の持つポテンシャルでもあります。CM的な手法に走る作品が多い中で、本作のストーリー含めた完成度の高さは異彩を放つでしょう。


上記要素を踏まえた上であえて言うのですが、やはりクライマックスのアクションシーンを演出するには、作品を前後編に分割してでも容量を気にせずグリグリと絵を動かして欲しかったというのが見ていて思った事ではあります。全てのシーンで同一のイメージを使いまわしているために、動画の生み出すダイナミズムが大幅に削減されてしまい、「映画のような躍動感」というところまでには今一歩及んでいないような気がどうしてもしてしまいます。ちょっとした仕草や髪の毛のたなびき方など、細部の拘りは素晴らしかっただけに残念です。
作品のほのぼの感を強調するために採用したのでしょうフルボイスも、クライマックスのシーンにまでセリフがあるのは逆効果だったように感じてしまいました(どうしても緊張感が削がれてしまうので・・・)。


ストーリーは明快に説明されており、特に不可解な点は無かったのですが、サブヒロインが通常時猫に変身しているという設定だけは全編見ても理由がわかりませんでした。「のび太の魔界大冒険」の美夜子のように、敵の魔法でそうさせられているという意味なら、ドラえもん世代には直感的に分かりやすかったのですが(笑)。

Flashによるシンプルなガンシューティングゲームです。
体裁はごく普通のシューティングなのですが、特異なのは使用するガン(リボルバー)に6発という弾数制限があり、弾が尽きるごとに代金200円を払ってリロードしなければいけないという点にあります。
わざわざそんなところまで「実際のゲームセンターにあるアーケードゲーム」の原理を忠実に再現する必要があるのかは疑問ですが(笑)、このシステムにより「一発の撃ち損じも許されない」という緊張感が生まれ、単にマウスを連打するだけでは済まされないゲームの奥深さを生み出しています。
もう少しグラフィック面にもこだわりが見られればなお良かったのですが、時間のある時にちょっと楽しむには最適の作品です。

最近大変精力的に作品を発表している新進気鋭、迷い猫氏の母の日に宛てた新作です。
黒の背景にきびしく屹立する薔薇の赤色は、一見とても冷酷な肌触りを持って感じられますが、ひとたび薔薇をクリックして本編が開始されると、風景はやがて暖かな茶色と温もりのある肌色の世界に移行していき、メロディアスなBGMとともに愛憐に満ちたストーリーが展開していきます。
実母に向けた情味が充溢した物語の風景を通り抜けた頃には、咲き誇る薔薇の赤色は最初のシーンのような冷たいそれではなく、感傷的な美しささえ備えて見えるのですから不思議なものです。

蛙男商会さんの新作というだけで最早詰まらないわけがないのですが、あえて蛇足的に氏のFlashの面白さを解説するならば、ドラワサビ以後ネット上に業火のごとく広まりやがて下火になっていった紙芝居的なネタFlashの最良の面を今なお受け継いでいるという点に尽きるでしょう。誰もが見た目に派手なMGやアニメーション的手法を導入する中で、「ペリーの肉声」の如きシンプルな馬鹿Flashの破壊力を受け継ぎつつ、確かな技術に支えられた傑作を精力的に発表し続ける才能は、インディーズアニメ界広しと言えど彼ぐらいしか見当たらないのではないかと思います。
今回の「古墳のコフィー」は氏がサイトの黎明期から暖められていたネタという事で期待は否が応にも膨らむのですが、ビジネス面に進出しても商業絡みの規制に縛られることなく、以前のような毒気たっぷりのネタで笑わせてくれることを願っております。まあ、いきなり仁徳陵古墳をヒーローとして登場させるアニメにそんな心配は杞憂でしょうが(笑)。