「裏Perfect Promotion '05」感想・その3(ネタバレ注意!)

6月28〜30日に開催された同名イベントの感想です。
このエントリーは前々回のエントリー及び前回のエントリーの続編になります。

Rogue系ゲーム「Angband」のCM作品です。


クールなMG作品で有名なf1ash氏のフィルモグラフィには本作は「僕らの住めない地球」のようなジョーク系Flashと同流のものとして位置付けられるのかもしれませんけれども、内容としては至って真面目に同ゲームの魅力を丁寧に伝えるものになっており、元ネタを全く知らない僕のような人間から見ても親切な説明が随所になされています。特にf1ash氏自らの手による描画と元のアスキー文字の対比は図式的で非常に分かりやすく、「想像力が大事なのだ」という言葉が(皮肉でなく)リアルな響きを持って伝わってきました。


冒頭のゲーム業界批判はsikamako氏の傑作「SEGA FantasyⅥ」のそれにも通じるもののようにも思え、個々人に多少の認識の差こそあれど皆考えていることは同じなのだなあという妙な得心がゆきました。レトロゲームへの素直な愛情が感じられる一作です。


Angbandの日本語バージョンはこのサイトからダウンロード出来るみたいです。

特徴的なデザインで有名な某携帯のパロディCM的作品です。


演出や描画の基本線は元ネタのCMに忠実なものの、プロが作ったと言っても信じ込んでしまいそうな画面の完成度の高さ、細部に至るまで技術的な「隙」のない作りは見事です。最大限拡大しても素材画像に殆ど劣化が無く(途中の「鯉」のシーンのみ明らかな劣化が見られましたが)、PCで観覧する限りにおいては公式CMとして流布しても問題にならないレベルに達していると思います。


本来こうしたCM用のPV作品はプロの映像制作会社によって作られるパターンが多くを占めていましたが*1、日本でも個人による企業へのローコスト制作のCM提供が少しづつ行われていく土壌は既に出来始めているのかも知れません。って、元E-ringo Flashの管理人氏に向かって何を知った風な口をきくかという感じですけれども、制作動機としてそうした方向性を予め意図されているようにも見えたので……。

  • 総評

シャープネスな描画を駆使したいかにもMG的な作品あり、アニメ的なノリを取り入れたポップな作品ありのバラエティに富んだラインナップが印象的でした。何故このような多種多様な風合いの作品が集まったのかはわかりませんが、「本家本元」を名乗るある程度格式ばったイベントではない、「裏イベント」という立ち位置がこのような自由度の高い作品チョイスを可能にしたのかも知れません。個人的にはライトな活力に溢れた「87fchannel」や、それとは対象的に全く生気の感じられない作品世界を展開した「DIGITAL .N.S」、高密度な画面デザインに唸らせられる「frenzy」などが印象に残りました。
作品を提出されたFlash作者の皆様、素晴らしい作品をありがとうございました。


関連エントリー「裏Perfect Promotion '05」感想・その1
関連エントリー「裏Perfect Promotion '05」感想・その2

*1:日本の場合。海外の事情はよく分かりません…