「のまネコ」問題についての私的見解と既出意見へのリジョインダー

問題発生の経緯と現状

昨年秋に「電影駄目虫超」のFlash作者わた氏によって発表され、インターネット上で話題になり、TV番組「ミュージックステーション」で放送されるなどのムーブメントを巻き起こしたFlash作品・通称「マイヤヒー」に登場するキャラクターが、(インターネットでは常識的にそうだと思われていた)匿名掲示板群2ちゃんねるアスキーアートキャラクター「モナー」ではなく、販売元であるavex社のオリジナルキャラクター「のまネコ」であるとしてavex社からグッズが販売されている問題が一部で波紋を呼んでいます。
以下、2ちゃんねるなどで行われている議論のまとめサイトである「のまネコ問題wiki」が現在閉鎖されてしまっているので、代替的なまとめサイトである「のまネコ問題のまとめ」から「経緯」を引用いたします。

もともと「電影駄目虫超」というサイトの「わた」という人がO-ZONEの「恋のマイアヒ」という曲を使ったFLASHを制作したのがことの始まりでした。
 そのFLASHは「恋のマイアヒ」の歌詞が「飲ま飲まイェイ」などと聞こえるという、いわゆる「空耳」に合わせて、AAキャラクターが動くというフラッシュ作品でした。(参考)
 その後、レコード会社のavexから「わた」さんに連絡が行きました。「わた」さんによれば、その連絡はポジティブなものであり、今後発売するCDに「わた」さんのフラッシュを利用したいということでした。「わた」さんはそれを了承しました。「何かのネタかと思いました。」
 また、フラッシュ作者としてのインタビューの際に、(インタビュー)「あの空耳、仕事中に考えたんですよ(笑)」とコメントしています。しかし各スレッドに記載されていた「空耳」と「わた」さんの歌詞がほぼ同一であり、このことから作者の創作性や著作権に関する認識に強い疑いが生じています。
そして2005年9月1日、avexが「のまネコ」というキャラクターのグッズ販売を始めました。(参考)
 ここに至り、巨大掲示板サイト「2ちゃんねる」(2ch.net)のユーザーから、「のまネコ」は2ちゃんねる内で広まっていた「モナー」などのAAキャラクターを無断で使用し、独占的に利益を得ようとしているのではないかとの批判がおきています。
 また、同キャラクターグッズのサイトに「(c)のまネコ製作委員会」というコピーライト表示があったため、同社および「わた」さんが、一般に広く共有されているAAキャラクターを「のまネコ」というオリジナルキャラクターとして独占権を得ようとしているのではないか、との懸念が広がっています。
 しかし、現状ではコピーライトが「のまネコ製作委員会」という名称にかかっているのか、「のまネコ」本体にかかっているのかわかりません。また現状では商標出願等は確認されておらず、独占の意思に関しては不明です。いずれにせよ、さらに情報を集めて「類似品による権利の濫用」などの問題を検討していく必要があります。

GilCrowsさんによる関連記事まとめもご参照ください。


以下ではタイトルに掲げたように、本問題に対する僕の私的見解の構築と既出意見に対するリジョインダーを行っていきますが、最初に断り書きを。この手の議論では得てして問題が「著作権的にどうだ」「法律的にどうだ」というような法律レベルの議論に強引に昇華されてしまうケースがままあるのですが、筆者である僕ことうぼしは一般常識的な法律にすら精通していない素人であり、そんな素人が(わかりもしない)法律言語を振り回すことによって主観と客観の倒錯した愚劣な議論を巻き起こす事は望むところではありません。法律の枠組みに現実を流し込むためではなく、現実の形に合う法律の型紙を探し出すためにこそ法曹のエクスパティーズは存在するということも踏まえて、今回に限らず僕がこの問題に言及する際には、その内容は客観的な法律言語などに基づいたものではなく、(「現実の形」をハッキリさせる為の)倫理的価値観に基づく主観的な判断であることを予め書き記しておきます。

のまネコ」は果たしてオリジナルキャラクターと言えるのかについて

現時点で最も大きな問題とされているのは、「のまネコ」のキャラクターグッズを販売しているavex社が、先のグッズの販売に「(C)のまネコ製作委員会」という、あたかも「のまネコ」というキャラクターが自社がオリジナルに創作したそれであるかのように見える表示をグッズの販売ページで掲げていることであるようです。もう一度「経緯」から引用しますと、

 また、同キャラクターグッズのサイトに「(c)のまネコ製作委員会」というコピーライト表示があったため、同社および「わた」さんが、一般に広く共有されているAAキャラクターを「のまネコ」というオリジナルキャラクターとして独占権を得ようとしているのではないか、との懸念が広がっています。
 しかし、現状ではコピーライトが「のまネコ製作委員会」という名称にかかっているのか、「のまネコ」本体にかかっているのかわかりません。また現状では商標出願等は確認されておらず、独占の意思に関しては不明です。いずれにせよ、さらに情報を集めて「類似品による権利の濫用」などの問題を検討していく必要があります。

とあります。


ここからは僕の私的見解になりますが、いくら名を変え品を変え別物と主張しようとも、そのデザイン的類似とそもそもの当該Flash作品の発生経緯から見て、「のまネコ」が「モナー」や「ギコ」などの2005年現在主に2ちゃんねるのコミュニティ上で用いられているアスキーアートキャラクターを参照した上で製作されているのは明らかであり、avex側は「2ちゃんねる」の代表である管理者の西村博之氏に対し、氏の運営するコミュニティで使われていた*1キャラクターを(キャラクターのそのままの利用ではないにせよ)商用に利用したことについての相当の対価を与えるべきであると考えます。


もとより日本のウェブサイトにおける当該曲「恋のマイアヒ」ことモルドバ共和国の男性3人組「O-Zone」による「Dragostea Din Tei」の大流行が、2ちゃんねるを中心とした掲示板やウェブログなどのコミュニティで当該曲が流行したことに起因していることは、現存している中では最大手と思われるまとめサイトマイヤヒー まとめ」の膨大なログが証明していますし、現在の「のまネコはモナーか否か」問題もまた2ちゃんねるのコミュニティの内部で紛糾しているものだと言う事を踏まえれば、作者側がどう考えていたにせよ、当該Flashのキャラクターが「主に2ちゃんねるで用いられているキャラクター」だと認識された上で(「マイヤヒー」を話題として取り上げたインターネットユーザーに)消費されていたことは明らかです。またavex側も、冒頭に挙げたミュージックステーションでの「恋のマイアヒ」の御披露目に主に2ちゃんねるで用いられているアスキーアートを模した電飾の演出を使う、「マイヤヒー」のプレビューなどを見ることができる日本版「O-ZONE OFFICIAL WEB SITE」において、主に2ちゃんねるで用いられていると思われるジャーゴンを数多く用いるなどの行動を取っており、ネット上での「マイヤヒー」ネタの盛り上がりが2ちゃんねるを中心としたものであった事、ひいてはそれに便乗する形で発表された当該Flash作品が2ちゃんねると深い関係がある事も初めから承知の上であったと推察されます。


状況証拠からの推測ではありますが、avex社が「のまネコ」の元ネタが、現在主に2ちゃんねるで用いられているアスキーアートキャラクターであること、それが2ちゃんねるのようなネット上のコミュニティで用いられる中でオープンソース的にどの権利主体にも依存せず*2用いられているという事実を承知の上で今回の商品化に踏み切ったのだとすれば、著作権や外観類似があーだこーだという議論以前に、一企業としての常識的な倫理として、商品化の前に、2005年現在当該アスキーアートキャラクターが主に用いられている2ちゃんねるというコミュニティの代表者である西村博之氏に対して何らかのアクションを起こすのが普通であって、それすらなしに独善的な自利益追求の態度を取れば、特に2ちゃんねるコミュニティのユーザーからは反感を買うのが当然でしょう。avex社は「恋のマイアヒ」及び「のまネコ」がネットユーザー以外の層にも人気を博していると見たうえで今回の「のまネコ」商品化に踏み切ったのでしょうから、今回騒いでいる一部の2ちゃんねらーぐらいは最初から願客として切り捨てるつもりだったのかも知れませんが、せめてavex社に対するそうしたネットユーザー達の反撥が拡大しないよう何らかの配慮を行うぐらいの事は、自企業の名誉を保つという意味でも必要だったのではないかと思います。


主に2ちゃんねるで現在用いられているアスキーアートの多くが2ちゃんねる以前に存在したネットコミュニティ(あやしいわーるどやあめぞうなど)の住人が創作したものの剽窃であること*3を考えれば、2ちゃんねるの管理者である西村氏が対価を受け取るのはおかしいという議論もありましょうが、当該アスキーアートキャラクターが(各コミュニティの運営者とは無関係な)匿名の不特定多数のユーザーによって作られ、発展的に継承されていったという経緯と、それら不特定多数のユーザーに対して直接的に(今回の商用化によって発生した)利益を還元するのは実質的に不可能であると言う事を踏まえれば、個別的な(アスキーアートを扱う)ユーザーではなく、総体的なコミュニティとして今回のインターネット上での「マイヤヒー」ブームを支えた「2ちゃんねる」に利益を還元させるのが最も自然と考えられますし、そうであれば2ちゃんねるの管理者である西村氏にその対価を与えるのが常道でしょう。

「商品化すること」自体が批判対象であるとの意見について

上の小見出しでは、「のまネコ」がどう見てもavex社が用意したオリジナルキャラクターとは呼び難い事と、それによってavex社が元ネタのアスキーアートの発表されていた場所*4である2ちゃんねるに然るべき対価を与えるべきである事を論じましたが、まとめサイトの意見などを読んでいると、そもそも2ちゃんねるに限らず、ネット上のコミュニティなどでオープンソース的に用いられているキャラクターを(改変を加える加えないに関わらず)企業などがその諸権利を有する商品として販売することが問題なのであり、それはそのキャラクターを使用することについて然るべき対価を与えることなどでは解決されず、その商品化の一切を絶つことによってしか解決しないという意見も散見されます。これはそもそものキャラクターの(オープンソース的な)活用が、個別的な私人や私企業によってそのキャラクターに関する権利を独占されないことによって成立していること、そのことに適切な配慮をしなかったが故に、今年4月の電撃帝王によるOS商業コミック化問題などの事例が起きていること追記:ご指摘を受けて一部を修正しました。詳しくは追記エントリーを参照)を踏まえれば、ネット上のキャラクターの二次使用に関する一般論としては説得力があると思います。


しかしながら、もしも今回取り沙汰されている「モナー」のような、インターネット上で主に使用されているアスキーアートキャラクターが商用利用されることそのものを拒むのであれば、「マイヤヒー」というFlash作品がavex社に公式に「恋のマイアヒ」のMTVとして採用された時点で、アスキーアートキャラクターをそのような「商用利用された」作品のうちに取りこんでいることに対する強烈な批判を提示していなくてはおかしいのではないでしょうか。そもそも、先に挙げたような当該Flash作品の一般層への普及が成功した時点で、今回のような商業グッズ販売などの流れが巻き起こる事は十分に予測できたはずで、当該Flash作品がミュージックステーションで流されていた当時は「ついに2ちゃんねるがお茶の間に進出だ!」などと言いつつ手を叩いて喜んでいたくせに、いざマルチメディア的に展開するという段になって「アスキーアートの商用利用は許さん」などと言い出したのでは、拙劣なダブルスタンダードの謗りを免れないでしょう。
仮にそうでなくとも、実際にグッズが公式サイトで販売を開始しているという段になって、今後のグッズの販売やマルチメディア展開の全てを封殺するのは現実的に不可能ですし(もしここで販売中止などの措置を取れば、販売準備費も併せたavex社にとっての莫大な損失が生まれてしまうでしょうから)、明らかにパチモンであるとはいえ、あえて「のまネコ」という元ネタのアスキーアート作品とは無関係な名称を冠しているのですから、もはや(ネット上でオープンソース的に利用されている)アスキーアートキャラクターとは「別物」*5と考えた上で、然るべき対応の仕方を考えていく方が建設的でしょう。

著作権の観点から本問題を論じることの困難について

法律レベルの議論はしないと冒頭で触れた後ではありますが、本問題において「アスキーアートにも著作権が存在するのだからavex社の行為は違法だ」というような論じ方をする人が依然として多いようなので、法律の素人による主観的・倫理的な判断からではありますが、そのような「法律的判断」を本件について行うことが困難であることを少し論じてみたいと思います。


そもそも匿名の書き込みに著作権が存在するのかという議論については(2ちゃんねる管理人の西村氏は存在するとの見解を以前から示されているらしいですが)法律の素人の観点からは何とも言えないので言及致しませんが、存在するにしろしないにしろ、上に挙げたような「アスキーアートにも著作権が存在するのだから〜」というような論じ方をする人に共通しているのは、「アスキーアートは2ちゃんねるというコミュニティの著作物であり、従ってその著作権は2ちゃんねる(とそのコミュニティ参加者)に帰属する」という考え方であるように思います。
しかしながら、このような考え方はそもそものアスキーアートキャラクター(今回の場合はモナーやギコなどですが)の発祥に関する歴史的経緯から見れば誤りです。


ギコこと擬古猫があやしいわーるどの固定ハンドルである擬古猫氏が好んで用いていたアスキーアートであることは、要点整理にも一応「ギコはあやしいわーるどから出たものが初出である」という記述があるので詳述はしませんが、同じく「あめぞう発」とされているモナーにしろ、その名称の由来である「オマエモナー」はあやしいわーるどで96年頃から用いられていたジャーゴンの一つですし、またモナー誕生のスレッドと言われる2ちゃんねる厨房板の「てすと」スレッドに貼り付けられた最初期のモナーは、その表示のズレなどからあやしいわーるどやあめぞうなどで製作されたものがそのままコピペされたものであるという説が有力です*6。そしてもちろん、これらのアスキーアートは誕生の瞬間から無数のユーザーの手によって(ユーザー同士のコミュニケーションと密接に絡み合いながら)複雑な改変を経て現在に至っており、もはや「どこの誰がこれらのアスキーアートの生みの親である」というような議論は成立しないような状況になってしまっています。


そのような歴史的経緯があることを知りながら、2005年現在、主に2ちゃんねるでそれらのアスキーアートが使われているからという理由だけで「アスキーアートの著作権利は2ちゃんねるにあり」などという主張をしようものなら、説得力のない与太話と笑われても仕方がないでしょう。
最初に述べたように、筆者は著作権法の詳細な内容などをほとんど知らない素人ですけれども、素人目に見ても上記したような歴史的経緯が存在している以上、「アスキーアートの著作権」を(2ちゃんねる側の立場から)主張する事は無意味に近いように思います。重要なのは、前々項「「のまネコ」は果たしてオリジナルキャラクターと言えるのかについて」で述べたように、今回問題となっているキャラクターである「のまネコ」が、明らかに2ちゃんねるのコミュニティを参照した上で製作されていると言う事であり、コミュニティ内でオープンソース的に(誰の「著作物」でもない状態で)使用されていたキャラクターを無断で二次利用したということのインモラルさを追求した方が、(2ちゃんねるの方々からすれば)物事を有利に進めやすいのではないかと思います。

誰に対してどのような批判を加えるべきかについて

上記したような議論を踏まえれば、批判を加えるべきはあくまでも(アスキーアートを二次利用することの決定を下したのだろう)avex社とその傘下にある「のまネコ製作委員会」であるという結論になるのではないかと思えるのですが、何故か2ちゃんねる内ではFlash作品「マイヤヒー」の作者である「電影駄目虫超」のわた氏に対する非難が集中的に巻き起こっており、そのとばっちりを食らう形でわた氏の参加する今月23日開催のウェブアニメーションイベント「flash★bomb'05 THE THIRD IMPACT」にも一部で批判が起きているようです(先のまとめサイトの関連サイト一覧にも名称があります)。


以下は筆者である僕がネット上で発表されているアニメーションに関することがらをマニア的に書き綴るブログ(ここですが)を運営している人間であることを前提とした上で読んでいただきたいのですけれども、上で散々書いたように、今回のグッズ販売や「恋のマイアヒ」の宣伝戦略はあくまでもavex社が主導して動いているものだと見るべきで、そのことをしてFlash作品を提供したわた氏や氏の関係者に対する批判を巻き起こすのは的を外しているだけではなく、結果的に問題の解決を遅延する役割しか果たさないと思います。
初項などで述べたようにavex社の企業倫理の問題として考えられるべき当問題を、元々はたかがネット上で発表されたFlash作品に過ぎない当該作品の成否の議論に摩り替えるのも問題ですし、現在はavex社と商業契約を結んでしまっている以上、口が裂けても「私の製作したFlashのキャラクターは2ちゃんねるからのイタダキです」などとは言えない立場にあるだろうわた氏が、日記でFlashのキャラクターが(モナーやギコなどの)アスキーアートキャラクターでない事を暗示するような事を述べた程度のことで、元々2ちゃんねると無関係な天下の大企業avexとたかが2ちゃんねらーのいち私人を同一の立場と見なして攻撃するのも問題です。少なくとも現在ネット上に開示されている情報では、氏が元avex社員でも何でも無いただの一般人であることが明らかなのですから、そのような人物に対して批判を加えることで何故(avex社が巻き起こしている)当該問題に対する解決の糸口がつかめると考えられるのかも僕には理解できません。
何より、今後avex社とのコミュニケーションによって本件を真面目に解決しようという意思があるのならば、関係人物あるいは関係企業に対する批判にはくれぐれも慎重にならねばならないはずで、それら人物らあるいは企業らに対する無軌道な罵倒攻撃は、結局自身の立場を窮地に追い込む以外には何の役にも立たないと思います(もしもavex社と2ちゃんねる運営者が争うなどの事態になった時に、avex社側から「無意味な誹謗中傷を繰り返す荒らしの2チャンコロが我々のモラルを問える立場にあるのか」などと言われたら言い返す術がありません。また、2ちゃんねる上の匿名書き込みによる誹謗中傷があまりにひどい場合は、過去の幾つかの訴訟と同様、逆に2ちゃんねるの運営者側がavex社に名誉毀損で訴えられるという馬鹿話に発展する可能性も無いとは言えません)。


と言いますか、わた氏にしろflashbombにしろ、もともと2ちゃんねると密接な関わりがある人物及びイベントであり、コミュニティとしての2ちゃんねるに参加している2ちゃんねらーの方々の立場からすれば「仲間」と言っても良いような気がするのですが……。そうした(本来戦うべきでもない)相手との争いに拘泥して本当に戦うべき相手を忘却してしまうようであれば、まさに相手の「思う壷*7」と言えなくもないかも知れません。

暫定的結論

以上、大変長くなりましたが、本稿「「のまネコ」問題についての私的見解と既出意見へのリジョインダー」の各小見出しで論じた結論を数行で纏めたいと思います。

  • avex社は企業としてのモラルを守り、「のまネコ」の元ネタであるアスキーアートを提供した*8ネットコミュニティの代表者としての西村博之氏に相当な対価を与えるべきである
  • アスキーアートの商業利用そのものを許さないという意見は、Flash作品「マイヤヒー」が「恋のマイアヒ」の公式MTVとして採用された時点で出ていなければおかしいものであり、今になってそれを言い出すのはダブルスタンダードである可能性がある
  • 「モナー」「ギコ」などの「のまネコ」の元ネタになったと思われるアスキーアートキャラクターが「2ちゃんねる」の独自の著作物ではない以上、「著作権的にどうだ」という議論は空論に終わる可能性が高い
  • わた氏やわた氏の関係者に対する批判は現状無意味である。また、的外れな誹謗中傷は誰に対しても行われるべきではない

続編エントリー

寄せられたご意見への返答などを本エントリーの続きとなる「「のまネコ」話つづき」に書きました。合わせてご参照ください。

*1:後述するように「モナー」や「ギコ」などのアスキーアートキャラクターのそもそもの出自は2ちゃんねるではありませんが、ここではavex社がそれらのキャラクターを二次利用する際に「2ちゃんねる」を参照したと推察されることからこうした書き方をしています

*2:「2ちゃんねるのようなネット上のコミュニティ」それ自体が権利主体であるという考え方を取れば、「2ちゃんねるのようなネット上のコミュニティ」という権利主体に依存しているという言い方もできるかも知れませんが、少なくとも私人や私企業の権利下にはないという意味で

*3:これについては次々小見出し「著作権の観点から本問題を論じることの困難について」で詳述します

*4:当該アスキーアートのそもそもの起源であるという意味ではない

*5:「のまネコ」が従来のアスキーアートとそのキャラクターデザインにおいて無関係という意味ではありません念のため

*6:さらに詳しくは翔泳社「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書」の272ページから273ページにかけての記述をご参照ください

*7:皮肉に聞こえると今気付いた!!!11ぬぬ

*8:しつこいですが当該アスキーアートのそもそもの起源であるという意味ではありません