「のまネコ」騒動に見るネット社会の倫理意識

サボテン観察日記さんより。

603 名前: ( ´∀`)さん [sage] 投稿日: 2005/09/17(土) 13:13:43 id:MBH4yrAH0

まじレスすると、今までネット媒体での表現は甘やかされてた。

紙媒体や映像音楽での表現は厳しく規制され、モラルもある程度

できあがっているが、ネット上の表現はそうではなかった。

(もちろん映像や音楽は外国のパクリは山ほどあるww)

今回なぜこれが問題になったかといえば、今までの流れでは

紙・映像・音楽媒体→ネットへ

↑これが主流だった。

しかし今回の騒動は

ネット→紙・映像となってしまったために起きたもの

これが意味するものはなにかというと、これからはネット媒体も他のメディアと

同じようなモラルと規制を受けるってことだよ。

つまりおまいらが騒ぎ立ててることはそのまま2ちゃんに降りかかってくるということ。

モナーはみんなのものとか言ってるけど

それなら明らかにオリジナルな権利がしっかりしているキャラクター

などのAAを使うのも無理になってくる!

マンガAAなんぞを貼るのは議論の余地がないくらい著作権違反だが

それを今まで見逃されてきたのはネットがそこまでのメディアになってなかったから

今までは見逃された部分でもこの騒動によって、ネットによって自分(自社)の著作権

侵害されている場合が明白なことについては企業も対策をうってくるだろう

ネットで生まれたからみんなのものっていうのは甘えだよ!

マンガAAを放置してるような管理人にも当然ペナルティがある

モナーを愛してるなどとキモイこと言いながら2ちゃんを追い詰めてるのはおまえらなんだぞ('A`)

それの対する馬鹿の反応

609 名前: (悪 ・∀・)鐇鐇鐇鐇鐇鐇 [sage] 投稿日: 2005/09/17(土) 13:28:02 id:X3PnX3jt0

>>603俺らは、モナーを愛してるんじゃない

シンボルを守ろうとしてるんだ。

モナーは、2ちゃんねるや日本のWEBのシンボルだ。

だから守るって何だよ。
自由に使えてモナーという名称も奪われない。
つまり何も失ってない。
今までと同じだ。
ただAvexが金を儲けただけだ。
それなのに何を守ると言うのか。
パクッたキャラをオリジナルと言うのが許せない?
ああそうですか。
散々モナー2ch発だと虚言を吐き、擬古猫に関しては名称すらパクった。
そんな蛮族どもがどの口でそんな寝言を言ってるんだ。


Avex、いや、日本世界のすべての企業よ。
Avexのまネコの件で謝罪をしたら
その瞬間にネット上の著作権侵害を取り締まれ。
ネット上だけじゃない。
同人誌、同人CD、フィギュア、すべてを取り締まれ。
それくらいやらないとあいつらは気がつかない。
自分たちがどれだけ甘やかされているかを。
どれくらい大目に見てもらっているかを。
そして、自分たちのやってきた行為で自分たちの居場所がなくなる空しさを思い知らせろ。

「(悪 ・∀・)」という人の書き込み内容は図らずも件のエントリーの裏付けになっているような気もしますが、それはどうでもよくて。


「昔のインターネット」がどうだったかについて語れるほど僕は過去のインターネットについての知識や体験を持っていないのですけれども、インターネットがまだ一般化せず(それこそパソコン通信の延長線上にあるような)アンダーグラウンドの世界だと認識されていた頃には、ユーザーが自らの行いを「違法」だと認識するような意識が常に働いていたのだろうなあと思います。mp3の配信、漫画やアニメのキャプチャー画像のアップ、芸能雑誌のインタビューのコピーライト、勿論全て法的には違法行為ですけれども、ユーザーがその「違法性」を自覚し、企業様に目をつけられない程度の規模で行うことによって、それは(企業側の宣伝になる場合も込みで)多くの場合大目に見られてきました。万一訴えられても、さっさと企業側の要求に従って該当コンテンツを削除するなり、しばらくネットで同様の違法行為を控えるなりの用意がユーザー側にあったのも、インターネットの法的な「緩さ」の醸成に一役買っていたのかもしれません。そこにあったのは「違法は違法」と自覚しつつ自らを律して行動を行う一種の内省意識であり、ネットリテラシーとしての高い倫理意識だったのでしょう。


ところが、近年になって、レンタルブログサービスの登場でhtml等の技術を学ばずとも誰でも自分のサイトを持てるようになったこと、セキュリティの向上でハッキングによる攻撃などにあまり気を使う必要が無くなった事などが原因で、「インターネットをやること」の敷居が下がり、これまであまりインターネットに触れていなかった(ネットの独特の「法的緩さ」に無頓着な)ユーザーが数多くネット社会にコミットしてきました。
それはネット人口がこれまでより増加しているという事ですから、大きな目で見れば「ネット社会が発展している」とも言えるのでしょうが、winnywinMXを当然のように使い、2ちゃんねるなどのコミュニティで(漫画やアニメなどの)ネット以外で発表された作品のパロディに親しみ、それでいて(そうした行為への)法的訴えを回避する高いセキュリティに保護された「新しいネットユーザー」の倫理意識が、果たしてアンダーグラウンド時代のネットユーザーのそれよりも発展した、高い水準にあるかといえば大いに疑問です。むしろ、ネット社会全体の倫理意識の発展と成熟を見る前に飛躍的な技術面での向上が行われたことによって、ネットユーザーが(複雑な専門知識無しでも)行いうる行動半径の広さと自由度の高さ、そしてそれによって生じるあらゆる「リスク」に対応できるだけの常識的通念としてあるべき「モラル」が機能不全に陥ってしまい、今回の騒動の端々に見られる、自ら著作権侵害をしながら著作権違反を糾弾するような倒錯した行動を生み出しているとも言えるかも知れません。


もっとも、僕自身は上記したような事実を持ってして「ネット上の著作権侵害を取り締まれ!モラル向上!」などと言う事を言う意図は全くなく、といいますか著作権侵害なんて自分でもよくやっているので(ここで「この犯罪者め!」と良識ある方々から非難殺到)、今回の「のまネコ」問題についても、著作権の観点からavex社を批判するのは無意味だとこのブログでもしつこく書いてきたのですけれども、そうした内省意識なしに無軌道な暴走を繰り返すだけでは、上で引用した「( ´∀`)さん」のコメントのように、インターネットの世界をムリヤリオーバーグラウンドに引きずり出した上で既存メディアの監視下に置くような、従来のネットユーザーにしてみれば暗ーい未来が待ち受けている可能性もあるかと思いますけれども、ネットユーザーの大半の倫理意識が未成熟であり、また今後も向上の見込みがないとなれば、そうした「強硬手段」に出るのも已む無しとなっても仕方がないのかもしれません。


で、松永さんブログに「お前を殺す」と名指しで書いてきた人に切々とメディアリテラシーの大切さを語ったりサボテン観察日記id:kyoumoeさんが暴走チャンコロの煽りにいちいち(煽り返しを含みながらも)受け答えしているのは、2ちゃんねる住人のヒトから見れば「自分達を弄くって遊んでいる」ようにしか見えないのかも知れないんですが、上記したような「ネットユーザー個人の倫理レベルの向上」という視点から見れば、話の分からないバカに対して強い口調で叱り付ける事で倫理意識やコミュニケーションの作法についての自覚を促しているわけであって、こうした活動を組織的かつ大規模に行うような機関ができればネット社会のモラルも少しは向上するのではないか、と感じます。
現実的にはやはり教育機関の充実が望まれるのでしょうが、公的な教育機関では「著作権侵害はネットだろうとどこだろうと絶対にダメ」としか言わないでしょうから、実際的なネットリテラシーの向上のためには、現在のネットの根本的な「違法性」を踏まえつつ、違法行為とどのように付き合っていくべきかを教える場所がどこかに必要だと思うのです。


具体的な案としては、ネットリテラシーが未成熟な厨房諸君の為に、1日最低1時間の参加を義務付けるアンダーグラウンド掲示板を設置、名づけて「あやしくないわーるど@再教育センター」(再教育センター?)ありとあらゆる虚偽と罵倒と割れずとエロとグロと中傷と手淫とハッキングとが飛び交う掲示板で、インターネットの恐さと面白さを徹底的に体に叩きこみ、ネットリテラシーの向上具合に合わせて半年〜1年で卒業、各自サイトを持たせて自身の経験に基づいた表現活動を促進することで、厨房の減少と次世代のネット文化の担い手を輩出、また掲示板ユーザー同士の絆を育みコミュニケーション不全な現代社会に(特定コミュニティへの帰属意識に回収されない)確かな連帯感を作り上げる。掲示板の管理人はドラマ「女王の教室」の阿久津真矢の人格をコピーしたロボットで、掲示板利用者がプレッシャーに負けて厨房行為を働きそうになると「いい加減目覚めなさい」とやんわり止めてくれる。逃げ出そうとしたユーザーはその後一ヶ月間掃除と給食当番を毎日やってもらうというペナルティを受ける。うーん完璧だ。2ちゃんねるなんかよりよっぽど良いコミュニティになりそうなんだけど、誰かやってくれる人いませんかねえいや本気で。