なんちゃってクリスタル

目覚めると青白い水晶の中にいた。冬の白樺の木肌のようにちりちりと冷えた表面にそっと手を触れて中を覗きこむと、緑や青や黄色やオレンジの閃光が瞬く星のように輝いていて、僕の意識を再び遠い夢の世界へと誘った。気を失う直前ふと仰ぎ見た天井には昼下がりの太陽が燦然と照りつけていて、赤みがかった光線に炙られたウンテル・デン・リンデンではアドルフ・ヒットラー第三次世界大戦の準備を着々と進めていた。