今日のFlash(「DOORS」「鉄人8頭身」)

株式会社マクセルによる「Disc Professional Maxell - GIGA THEATER」が企画する「私のアーカイブ〜4つのストーリー〜」の新着ムービー第二弾です。


無限にドアが続く不思議な世界の終着を目指して旅する少女と妖精、という設定だけ聞くと典型的なファンタジームービーにも見える作品が、ラストに至って実は抽象的なSF(風)作品だったと言う事が明らかになるアレゴリカルで表裏のあるストーリーテリングは、上映時間の限られている短編アニメーションのお手本的なものとも思え、以外に他分野で発表されているインディーズアニメの文法と近しいものを感じます。元々は「G-creators」から選出された作者氏らが作っているのだから当然と言えば当然ですけれども、本作の作者氏がいる「位置」と他のアマチュアリエーター達のいる場所はそう遠く離れてはいないのかも知れません(レベル云々の問題ではなく)。


以下に前回の第一弾作品も含めた作者氏らの公式サイトを集めたので、ご興味のある方は是非飛んでみてください(IAAからも飛べます)。


第一弾:10GAUGE.org
第二弾:GRAY-ARC.COM
第三弾:G-creatorsプロデュース一覧 > 蒼のフルーツ
第四弾:D.D.N

久しぶりに登場した直球の2ちゃんねる系アニパロFlash(鉄人28号+8頭身)です。


既にwOzBox (;´Д`).to512kbなどの諸サイトの活躍により膾炙されたアニパロFlashというジャンルは、著作権的な締め付けの厳格化とジャンル自体のマンネリ化が相俟って最近ではあまり作品が制作されなくなってしまったのですけれども、小中学生層を中心とした人気は未だに根強いようで、上記二サイトの公開停止作品がファンサイトに無断転載されているのをよく見かけます。


新しいことが出来なくなったジャンルに挑戦する場合、ジャンルそのものを破壊するような前衛的な試みをするわけでも無い限りは、重要なのは技術・内容ともに如何にしてジャンルメソッドに忠実で面白おかしいものにするかというただ一点だと思うのですけれども、本作「鉄人8頭身」は既に多くの作品を見て目の肥えた観客の鑑賞にも耐えるだけのクォリティのハードルを軽く飛び越えているように思います。
トレースを駆使したのだろう力の入った背景描画、世界観にマッチしたシックで渋く纏まった色使い、ダイナミックなアニメーション表現、煙や光線のエフェクトのリアリティの裏付けある重厚さなど細部に至るまで申し分のない完成度の高さで、これが最近Flash制作を始めた作者氏の第2作目というのはちょっと信じられません。


一昔前なら発表されただけで大騒ぎになっただろうレベルの作品が、新人の作者氏の手によって卒無く料理される時代が来たことに、良くも悪くもウェブアニメーション文化の変節を感じます。今後もこうしたタイプの作品は定期的に発表されるでしょうが、かつてのように文化全体の本流として支配的に振るまう事はなくなっていくのでしょう。
批評する何かの影たるパロディ作品のあり方としてはそれでいいのかも知れません。