今日のFlash(「ペル=ソナ」)

静的ながらドラマティックな作品です。


部屋の中で泳ぐ魚、逆転する重力、夜空に浮かぶバベルの塔・・・・作者氏の奔放なイマジネーションが随所で炸裂していますが、不思議とゴチャゴチャと統一の無い感じがしないのは、仮面(ペルソナ)をつけた主人公が常にその表情を崩さないからだと思います。周囲の劇的な変化にもへこたれない「変わらない」彼の姿に観客は感情移入し、同じ視点で幻想を旅することで、不条理な世界にも地に足を着けつつついていく事が出来ます。そしてクライマックス、主人公が仮面を夜の空の海に捨ててしまう(=「主人公であること」を放棄する)事によって、物語は終わります。


また、作中の「物語」が斯様に難解でアーティスティックなものであるにもかかわらず、それが妙に「ドラマティック」なのは、この作品の裏テーマ(?)が「一日」を描く事に主眼をおいているからだと思います。「一日」は真夜中より始まり(ファーストシーン)、朝日を迎え(船のシーン)、昼を経過し(街のシーン)、ラストで再び夜に帰結します(ラストシーン)。夜のシーンで象徴的に「土星」を描き、BGMに「屋根裏の散歩者」というタイトルのつけられた曲を選ぶ、いちいち小粋な作者氏のセンスが見ていて心地良いです。