今日のFlash・拡大版(「WEB日本昔話 01.浦島太郎」「ぽろろ6」「国内サッカー板Flash その2」「奈良のアレ」「奈良2 "HIP HOP SHIT!!"」「inside of the box」「2003・2004総まとめムービー」)

3日分も開けてしまったので、見れていなかった分も含めて纏めて更新。3日坊主で終わったわけではないです(苦笑)。

サウンドノベルかまいたちの夜」風なシルエットの人物が不気味な緊迫感を醸し出し、作品のブラック・ユーモアを上手く増幅させています。身もフタもないネタではありますが(笑)、フロイト精神分析の学術的ないかがわしさはよく言われるところでもあり、一般人と学者の意識の違いを表層化した作品として読みとるのもよいかも知れません。
それにしても、今時動物を苛めて喜ぶガキっているんでしょうかね?変質者とかの方が割合多そうですが。

前作「ぽろろ5」が2003年8月の発表でしたから、実に1年8ヶ月ぶりの続編!目に見えぬプレッシャーを跳ね除けた作者氏の意思力が伝わりますね。


以前と同じく天真爛漫と残虐邪悪が絶妙にミックスされた、ぽろろというキャラクターそのものを表現しているかのような内容で、前作に引き続き楽しめました。不穏さの演出のために画面の背景を黒で塗りつぶすのはアニメーションではありそうでなかった手法で、可愛らしい絵柄と相俟って奇妙なインコングラスティを生成しており、ただのAAモノに堕さない作品のオリジナリティを支えています。

見た目に反してエポックメイキングな作品です。通常この手の宣伝用のPVFlashは畳み掛けるような言葉と音楽で観客を圧倒し、思考の余地なく受け手に内容を理解させるのですが、このPVの前半は「サッカーで繋がる世界」をキーワードにPVというよりは物語系作品のプロローグのような叙情的な語り口を用いて観客の興味を引き、「KICK OFF」で通常のPVに移行させるという二段構えの構成をもっています。
もはや陳腐化したかと思われていた観のあるCMFlashの手法ですが、本作が受け手の関心を得るために用いた手段は既存のPVの枠に当てはまらないユニークなものです。これからCM系のPVを作りたいと思っている方も、一度は参考にしてみると良いのではないでしょうか。

I wanna be a MUNEOを思い出しました。


このようなゲリラ系時事ネタFlashの発表ピークはおそらく2001〜2002年頃で、その後の著作権関連の意識の高まりやアニメーションFlashの隆盛とともに衰退し、現在ではそういった作品をメインにしている作者氏はあまり多くありません。が、このようなネタ系Flashの、色褪せるスピードが早い時事ネタとの相性の良さは無視出来ない面もあります(風刺画などよりずっと手軽に面白い物が作れるというアドバンテージ)。以前Flashで批判的言論を駆使するのはプロパガンダと受け取られる危険があることを指摘しましたが、作者氏に世に忠言する道化としての自覚があれば、そうそう批判も悪いことでは無いと思いますし、Flash全体がアート業界的な狭い世界に閉じ込められないためにも、「外部」への積極的なオピニオンの発信は行われるべきと考えます。

これから観る人に忠告:途中でブラウザを閉じないで下さい。最後まで見ないとお話がわからないので。


前半のやや情緒過多とも言える語りがラストシーンに至って衝撃とともに逆転するストーリーテリングの妙には感服しましたが、サウンドノベル風のゆったりした語り口で(テーマの中核を隠蔽したまま)長丁場を持たせる手法には賛否両論あるかも知れません。さりげなく終局を示すシークエンスを紛らわせるような手段もあるでしょうが、それからネタバレしちゃったら意味がない・・・難しいバランス感覚を要求される中、本作はかなり健闘したほうだと思います。


あるべき希望が胸の内にないならば、どこにそれを求めればいいのか・・・少女の語りの悲壮さとともに、言い知れぬ絶望感が滲むテーマですが、(以下ネタバレにつき反転)自殺するほどの人生の行き詰まりにあって、自分を思ってくれる人がいるというのはそれだけで価値なのではないでしょうか。「身の回りにある希望」は作中で一旦否定されていますが、ラストシーンの光景はまさしく「すぐ側にある希望」の象徴的現出だったように思えてなりません。

リンク先にあるlzhファイルをダウンロードして見てください(aviファイル)。


昨年の第三回紅白Flash合戦と発表時期が重なったために、プロ野球板以外ではあまり注目されなかった作品のようなのですが、このクォリティは時期に関わらず賞賛されるべきだと思います。かのinutaka氏にも劣らぬCG描画の美しさは勿論のこと、徹底したデフォルメを施されているにも関わらず、その表情、行動、仕草、デザイン・・・・・言い尽くせないほどに描き込まれたディティールによる、限りなく「生命」を感じさせるキャラクター達に込められた作者氏の情熱と愛情の度合いは只事ではありません。シーン一つとっても受け手を楽しませようとするサービス精神(しかも押し付けがましくない)には感動すら覚えます。


昨年はナベツネと例のデブのせいで色々と面倒でスキャンダラスな事態ばかりが取り沙汰されたプロ野球業界ではありますが、2ちゃんねるのスレッド一つに集うファンの中にもこれほどの才能の持ち主を抱えているという事実、やはり長い伝統と歴史を誇るメディアの強みは侮れないものがあるなと感心してしまいました。僕自身はあまり野球に関心はないのですが・・・。