馬鹿の過ちに学ぶ事

はてなブックマークから。

インターネットのチャットで知り合った当時18歳の少女をマンションなどに約3カ月間監禁したとして、警視庁捜査1課と綾瀬署は11日、札幌市中央区南1条東6、無職、小林泰剛(やすよし)容疑者(24)を監禁容疑で逮捕した。少女に犬の首輪をつけるなどして逃げ出さないようにしていたという。小林容疑者は03年、女性に対する傷害罪などで有罪判決を受け保護観察中だった。別の女性からも小林容疑者に東京都内で監禁されたという届けが出ており、同課で追及する。

調べでは、小林容疑者は昨年3月8日ごろ、チャットで知り合った兵庫県赤穂市の無職の少女(当時18歳)を渋谷区のホテルに呼び出し、顔を殴るなどして暴行。「見張り役にお前の顔を覚えさせた」と脅し、同年6月19日ごろまで同区内のホテルや当時住んでいた足立区内のマンションの一室に監禁した疑い。少女はすきを見つけて近くの弁当店に逃げ込み、保護施設に収容された。

 小林容疑者は「覚えていない。おれは統合失調症精神障害者だ」などと容疑を否認している。

この犯人が悪質なのは「精神障害者」あるいは「オタク」といったレッテルを隠れ蓑にして責任逃れを図ろうとしている所だろう(後者のレッテルは本人よりもマスコミによって付与されているように感じるが)。自分は元々「精神障害」になって「オタク」になるような「心の病気」の持ち主だから、悪いのは自分ではなくて病気のほうだというわけだ。それを認めれば、「小林泰剛」という犯罪を犯した個人が追うべき責任はどこかへ捨象されてしまう。
そのことに危機感を感じているだろう一部のオタクからは既に小林に対する糾弾が始まっているのだがしかし、小林が「外部」(自分以外のもの)にまで敷衍しようとした「問題」を、再び小林の「内部」(小林本人)に押し込めてしまうのは、それはそれで非常にまずいやり方だとは言えないだろうか。


例えば、この小林という男は過去に数回同様の犯罪を犯していた事が明らかになっており、朝日新聞の記事によれば、03年8月に札幌地裁で懲役3年保護観察付き執行猶予5年の有罪判決を受けている。犯罪を実行した2002年当時はちゆ12歳でもネタにされていたりするのだが、当初から「一生塀の中にいるようにして欲しい」などと言われていた人物が、それからわずか3年の後に(保護観察中だったにもかかわらず!)堂々と再犯をしてしまうという事態は重大な社会問題として捉えられるべきだと思うし、「馬鹿が一人いただけ」では決して済まされない問題を孕んでいると思うのだ。小林が愚劣な人物であることは論を待たないが、彼一人に責任を押し付けてオシマイでは、未だに根強く残る「精神障害者」や「オタク」への差別意識を改善する方向には世間の風潮は動かないだろう。


同様の問題は今話題の大阪読売新聞記者・竹村文之氏についても言えると思う。竹村氏のやり方のまずさについては多くのブログで指摘があった通りだろうと僕も思うのだが、彼の背後にあるだろう記者クラブの談合問題や、正確性や客観性よりもセンセーショナルであることを求めるマスコミの体質についての批判とそれに基づく然るべき修正が行われないことには、すぐにでも第二第三の竹村文之が現れないとも限らないし、実際の話彼がやっていたのと似たような取材のやり方をしていた報道関係者はこれまでにも(そして恐らく今でも)沢山いる筈だし、彼はその「分かりやすい代表者」として我々の前に立ち現れたにすぎないということを自覚しなければ、「全部竹村の馬鹿が悪い」といった身も蓋もない結論で議論が収束してしまうことになりかねない。当然ながら、彼の行為が孕んでいた真の社会的問題はその時捨象されてしまうのだ。


誰かが犯した犯罪(的)行為について正義感を持つのは構わないと思うが、彼らがその人生を犠牲にして(笑)犯してくれた失敗を上手く社会問題としてフィードバックし、解決に向かうような思索/施策を進めないことには、結局我々は彼らの「失敗」から何も学べなかったと言う事になる。一連の議論を不毛なものにしないためにも、もう少し腰を落ち着けてものを考える姿勢が必要なのではないかと思う。


参考:それでsomeoneになりたがっているわけだ。 - blog 01:11(via.gachapinfanのブックマーク)

というか、反論できない竹村タソをblogを書いてる皆様が叩いているという構図が発生中。あんたら、人のこと言えるのかよ、と。


いや、どうしてもそんな状況が発生してしまいますね、ということが書きたいのだけど。


というか、批判するのではなくて、その立場に自分がなってしまう可能性があること。それに対して、暴いてよし、とするのではなくて、その立場に自分がなるのが(・A・)イクナイ!!ならそれを避けるためにはどのようなことができるか、をイメージすること、変えられることがあるなら変えることが大切だと思う。